息子の視野障害がわかるまで(2)

経過・検査

前回の続きです

大学病院でも「わかりません」で終わってしまい、途方に暮れた私達。

最後の頼みの綱は、視覚認知の分野にも詳しい川端先生でした。

再び先生のもとへ

川端先生の病院は地方からも患者さんが訪れるため、非常に混雑しています。予約も受け付けていないので、診察まで長時間待たなければなりません。

息子には負担が大きすぎるため、受診するのは最後の手段でしたが、他に選択肢はありませんでした。

息子は感覚過敏で電車に乗れないため、当時単身赴任中だったパパが任期を終えて戻ってくるのを待ってから、車で行くことにしました。

今までと全く違う対応

診察当日は早朝に出発し、受付前から列に並びました。

視野検査や目の動きなど、数種類の検査を一日がかりで受け、ここでも息子の視野狭窄は明白となりました。

先生は非常に驚かれて

今まで大変だったでしょう

初めて寄り添う言葉をいただき、それだけで救われる想いでした😭

こんなに見えていない状態では危険なので、白杖を持った方がいいです
こちらで書類を書きますから準備していきましょう

え!?書類を書いてくださるのですか!?

あまりにもあっけなくおっしゃったので、事態が飲み込めませんでした💦

先生によって、こんなに対応が違うんだ…

息子の障害状態を認めてもらうために
放浪してきた日々が一気に思い出され

今までの紆余曲折は何だったんだ??
という気持ちや

ようやく一つのゴールに辿り着けた
という安堵の気持ち…

様々な想いが交錯しました。

もう少し確認したいことがあるので、また別の日に診察を受けてください。書類は次回に書きます。

この日は検査だけで一日終わってしまい、親子ともにグッタリでしたが、こんなに成果あった日は初めて!
頑張って診察を受けて本当に良かったと思いました。

念願の診断書

二回目の診察も(これまた大変でしたが…)早朝から頑張りまして、先生から
「原因不明だが視野狭窄状態である」
診断書を書いていただくことができました。

やっと書いていただけた…
ここまで長かった…

息子が不登校になってから
大きな節目でした。

心因性視覚障害ではない

ずっと疑問に思っていたことを先生に質問させていただきました。

「心因性視覚障害」とは違いますか?

「心因性視覚障害」は一時的な症状です。ストレス状態がなくなれば、症状も回復してきます。

でも息子さんの場合、幼少期からこの見え方のようですよね。

はい、私の顔も「全て見えたことは一度もない」と言っています

そうなると長期的な症状ですから、心因性視覚障害ではありませんね。

※後日、幼少期から視野が狭かったと思われるエピソードを一覧にして、先生に提出しました。

中枢性統合の弱さでもない

物事の細部に注目してしまう「中枢性統合の弱さ」でもないでしょうか

中枢性統合の弱さは、あくまでも「注目の仕方の違い」であって、全体を見ることはできます。道もちゃんと見えます。

息子さんの場合、本当に視野が狭いので、中枢性統合の弱さとは別ものです。

ようやく謎が解けたー!!

この質問は、誰にも答えていただけず、ずっと疑問だったことでした。
先生、ありがとうございました😣

なぜ動けていたの…?

こんなに視野が狭い状態で学校に通っていたんですよね。
どうやって歩いてたんでしょうね…

息子が言うには、空気の動き?や波?の感覚で、おおまかな空間把握をしているそうです

波って何の波でしょうか?音?光?

私もわからないんです。視覚も(一部だけ)ありますので、両方の感覚を併用して何とか生活していたようです。

うーん、、そんなことあるんですかねぇ…

この感覚については、先生も聞いたことがないようでした。

念のため脳検査もしましょう。紹介状を書きますので。

※後日、脳検査(MRI)もしましたが、異常なしでした。(大きな音がするMRI検査受けるのは、感覚過敏の息子には大変な試練でした😫💦が、ここでは省略します)

医学でもわからない症状

先生の診察を受けるまで、ずいぶん長い期間がかかりましたが、こうして無事に書類を書いていただくことができました。

これまでを振り返ると、息子の視野狭窄は、以下の要因で見過ごされてしまったようでした。
※川端先生でも、息子の症状はわかりませんでした。

  • 重度の狭窄がある場合は、視力が落ちていることが多いが、息子は視力がとても良かった
  • 視覚以外の感覚も併用して空間把握をしており、傍目には普通に生活しているように見えた
  • 心因性(ストレス)による視覚障害と症状が似ていた
  • 「中枢性統合が弱い」場合の見え方と似ていた

一番困ったのは、視野狭窄が判明した後も、お医者様に書類を書いていただけなかったこと!

「わからない」で終わらせず、真摯に対応してくださったお医者様は、たった1人だけでした。

もし理解のある先生がいらっしゃらなかったら…

そう思うと、とても恐ろしいです。

医師の書類がないと
「診断がつくほどではない」
「頑張ればできるのでは?」

と感じる人も多いと思います。

合理的配慮をお願いする際も、書類の有無で対応が変わると思います。

「できてるでしょ?」と思われるのと、
「大変なんだな」と配慮してもらえるのとでは、
人生が左右される程の大きな違いです。

原因不明の症状で、わざわざ地方から、新幹線で診察に来ているお子さんもいました。

世の中には「お医者様でもわからない」という困難に直面している人がいる…

不自由さを証明してもらうことが、こんなに難しいだなんて。。

このようなレアケースがあること、
診断がない = 症状が軽い」ではない
ということだけでも知っていただきたい…と思いながら、この記事を書きました。

お読みいただき、ありがとうございました。

プロフィール


幼い頃から華々しいエピソードがあるわけでもなく、全体がすごい高IQなわけでもない。それでも「ちょっぴり」突出したものがある、そんな息子の日常を書いています。
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